美大やデザイン専門学校を卒業していない社会人が未経験からグラフィックデザイナーになるにはどうしたら良いのでしょうか。
今の仕事が楽しめていない、クリエイティブな仕事がしたいなど、社会人になってからグラフィックデザイナーに興味を持つ人も少なくありません。
本記事では、社会人からグラフィックデザイナーになるための方法と、どんな人がグラフィックデザイナーに向いているのか、グラフィックデザイナーの年収などを詳しく解説していきます。
社会人からグラフィックデザイナーになるには
おすすめの方法は、スクールに通うことです。
狭き門ですが、独学でグラフィックデザイナーを目指す方法もあります。
スクールをおすすめする理由は、グラフィックデザイナーの求人は、即戦力を求めている場合が多いからです。
独学で勉強しただけではわからないことがたくさんあります。
しかし新入社員を手取り足取り教える余裕が現場にはないことがほとんどです。
スクールに通えば、独学では学べない現場で必要な知識を身につけて就職活動に望むことができます。
独学で就職を目指す
まず、グラフィックデザイナーに必須にスキルであるデザイン力と、PhotoshopやIllustratorなどのグラフィック編集ソフトの操作を学ぶ必要があります。
独学の場合は本を読んだり、Adobeのチュートリアルやyoutubeなどで動画を見て学ぶことになるでしょう。
その際、きちんと目標と期間を決め、途中で勉強を辞めてしまわないように対策することが大切です。
グラフィックデザイナーに必要なスキルを身につけたら、ポートフォリオを制作します。
ポートフォリオはグラフィックデザイナーとしての実力をアピールするための武器です。
できるだけクオリティの高い制作物を、なるべくたくさん見せられるようにしましょう。
経験者やスクール出身者のポートフォリオと比較されても、自分を選んでもらえるようなポートフォリオにしなければなりません。
それから未経験可の求人に応募します。
しかし独学の場合、書類審査を通過できないことも少なくありません。
スクール出身者よりたくさんの企業に応募する必要があることを覚悟しておいてください。
あるいは個人事業主としてクラウドソーシングサービスで案件を受注する方法もありますが、就職活動と同じく経験者やスクール出身者と戦うことになるので、長い間1件も受注できない可能性があります。
いずれにしてもポートフォリオの質が大切になりますので、一人での制作に不安があるのならば、スクールの利用をおすすめします。
グラフィックデザイナーに独学でなるには?おすすめの本や勉強のやり方
スクールに通って学ぶ
デザインスキルやグラフィック編集ソフトを扱う技術などを基礎から応用まで実践の中で学べます。
プロの技術を見る機会もたくさんあり、わからなくてもすぐに講師に質問ができるので、独学よりもスキルを短期間で身に付けやすいです。
また、一緒に学ぶ仲間がいるので、自分のスキルがどれくらいか比較することができ、作業スピードもどんどん速くなります。
一方独学の場合、一人で作業するので、現場に出てから他の人より圧倒的に作業が遅いことに気づくこともあります。
学習と実践を同時に進められるカリキュラムが用意されているので、スクールに通いながらクラウドソーシングを利用して、できるようになった案件からどんどん仕事を始めている学生もいます。
企業課題を取り入れているスクールなら、学生のうちに実際に現場でする作業と同じ流れで制作を体験することができます。
スクールには、卒業後即戦力になれるヒントやチャンスがたくさんあるのです。
グラフィックデザイン専門学校・スクール・講座おすすめ10選!
社会人にはスクールがおすすめの理由
スクールに通うにはお金が必要ですが、それ以上の価値があります。
社会人であれば、学生よりも経済的な理由はカバーしやすいので、悩む理由がお金ならばスクールを利用するべきです。
社会人は別業種からグラフィックデザイナーへの転職ということになるので、「前の仕事から逃げたかっただけじゃないか」「グラフィックデザイナーを楽な仕事だと勘違いしてるのではないか」という印象を与えることもあります。
しかしスクールに通ったということで、グラフィックデザイナーになりたいという本気度が伝わります。
社会人こそスクールに通うべきなのです。
独学のデメリット
実務には当たり前になっている「決まりごと」や「お作法」が存在します。
これらを独学で学ぶ機会はあまりありません。
そのため就職活動では即戦力だと思ってもらえない場合が多いです。
一方スクールではプロの講師からこれらを学び、在学中に何度も実践することができます。
独学の場合、採用が決まっても本当に現場で役に立つ人材なのかを見極めるため、グラフィックデザイナーのアシスタントから始まる場合があります。
アシスタントはデザイン以外の雑務が多かったり、手間はかかるけど簡単な作業しかやらせてもらえないことも多く、かえってグラフィックデザイナーへのステップアップが難しくなってしまうことがあります。
スクールのメリット
スクールには手厚い就職サポートや、就職先との繋がりがあります。
「グラフィックデザイナーの勉強で一番頑張ったことはなんですか」「どんな困難がありましたか、またそれをどうやって乗り越えましたか」など、面接でどんな質問をされても、スクールでの経験とサポートがあれば迷わず答えることができるでしょう。
独学の場合はできる経験が限られているので、質問への回答も他の人と似たようなものになってしまい、面接官の目を引くことが難しくなるかもしれません。
また、講師の指導を受けながら作ったポートフォリオも強い武器です。
一生懸命作ったデザインを自分で客観的に批評し、修正することはとても難しいです。
しかしプロ目線で指摘をもらうと、自分でも驚くほど良い仕上がりに修正することができます。
卒業生や一緒に学ぶ仲間の制作物から刺激を受けることもたくさんあります。
インターネットの情報や本に載っている見本では得られないヒントもたくさんあるでしょう。
さらにスクールでの経験があれば、現場でも戦力になると判断されるため、独学よりも圧倒的に就職で有利です。
就職後はすぐに大きな案件を任せてもらえたり、グラフィックデザイナーとしての経験が積みやすいので、プロとして活躍する機会も広がります。
社会人におすすめのグラフィックデザインスクール
社会人におすすめのグラフィックデザインスクールや講座については、下記の記事で最も詳しく紹介しています。
社会人におすすめのグラフィックデザイン専門学校・スクール・講座10選
総合学園ヒューマンアカデミー
ヒューマンアカデミーという名前は誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
ヒューマンアカデミーは1996年の開校から25年、卒業生の数は累計3.5万人以上とされている歴史ある専門学校です。
また全国で18の拠点があり、どこに住んでいても比較的通いやすい地域に見つけられ、80人もの現役プロ講師による少人数制授業で一人一人に合った指導をしています。
グラフィックデザイン専攻では、デッサンやイラストなどの手描きのアナログ授業から、アプリケーションを使ったデジタルの授業まで必要なスキルを網羅的に学ぶことができます。
学費等は、こちらも必ず資料請求をしてきちんと確認しましょう。
代々木アニメーション学院
代アニは1978年から42年間、アニメを筆頭とするエンタメ・クリエイター業界とともに大きくなってきた学校で、これまで巣立った卒業生はのべ12万人以上を超えています。
実は日本で放送されているほぼすべてのアニメ作品に代アニの卒業生が関わっているとさえ言われています。
業界のあらゆるところに学校の先輩がいる状況は、卒業後の就職や転職において非常に心強い人脈になります。
また代アニは全国10校(東京、池袋、大阪、なんば、名古屋、福岡、札幌、仙台、広島、金沢)で同一の授業を行っており、引っ越しをしても相互の転校・転入が可能です。
さらに「就職・デビューサポート」体制も全国一律なので、地方の方でも東京校の学生と同一の条件で関東企業への就職や東京のプロダクションへのオーディションをサポートしてもらえます。
そして講師も現役のプロとして活躍している人たちなので、実践的なスキルが磨けるというのも評判です。
そのほか企業コラボなども多数開催されていて学べる環境としてはこれ以上ないくらいに充実しているといえます。
学費については年度によって変動があるのと、ネット上にはコースごとの正確な情報がないので必ず資料請求をして確認しましょう。
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アミューズメントメディア総合学院
2年間でプロになるための実力をつける!というのが特徴のアミューズメントメディア総合学院です。
就職・デビューの夢を掴むのに3年や4年の期間は必要ないとアミューズメントメディア総合学院は考えています。
そして最大の魅力は何といっても「現場実践教育」です。
既にプロとして働いている卒業生の協力のもと、在学中からプロの制作現場に携わることができるため、在学中に大きなスキルアップが期待できるだけでなく、在学中に仕事に携わっている人もいます。
そのほか現役プロ講師の指導や専任システムによる就職・デビューシステムなど、スキルアップからデビューするまで十分な環境が整っています。
社会人からグラフィックデザイナーになるための就職先
グラフィックデザイナーにとって大手の就職先は広告代理店です。
しかし、未経験で社会人からの就職となると大手への就職はとても難しくなります。
多くの場合は、デザイン制作会社か、中小企業の専属デザイナーの求人に応募することになります。
おすすめはデザイン制作会社
デザイン制作会社では、広告代理店の下請けとして仕事を受注します。
さまざまな企業のいろいろな制作に携わることができるので、グラフィックデザイナーとしての視野を広げることができます。
一般的な企業であればデザイン以外の業務があることが多いですが、デザイン制作会社では基本的にデザインの仕事に集中できるので、成長が早い点も魅力です。
インハウスデザイナーは避けるべき
中小企業の専属デザイナーのことをインハウスデザイナーと言います。
その企業の商品のパッケージやチラシ、社員の名刺などを制作します。
インハウスデザイナーは、その企業独特のデザインに制作の幅が狭まってしまうので、グラフィックデザイナーとしての成長が難しくなる欠点があります。
また、自分のデザインが売上に直結することも多く、社内からのプレッシャーが厳しい点にも注意してください。
グラフィックデザイナーに向いている人の特徴
グラフィックデザイナーに必要な資質とはどんなものでしょう。
必要なのは生まれ持ったセンスや個人の感性ばかりではありません。
必須スキルの得意不得意とは別の、グラフィックデザイナーに向いている人の特徴を解説します。
コミュニケーションスキルが高い
グラフィックデザイナーは、ディレクターやコピーライターなどさまざまな人と連携して制作を行います。
また、クライアントからしっかりとしたヒアリングもしなければなりません。
そのため、コミュニケーションスキルは欠かせない能力です。
しかし、これもセンスのように生まれつきの才能だと考えてはいけません。
コミュニケーションスキルは、常に相手の立場でものを考え、わかりやすい説明ができるよう心がけることで向上する能力です。
また、いつも笑顔で、物腰柔らかく人と接することも意識しましょう。
根気強い
どんなに一生懸命作った制作物にも、必ず修正が入ります。
時には数ミリ単位の細かい修正依頼が何度も来ることがあります。
その度に心折れることなく、真摯に対応する根気強さがグラフィックデザイナーには必要です。
どんなに修正があっても、納期までに絶対に完成まで持っていくのがプロのグラフィックデザイナーです。
クライアント目線で考えられる
制作物には必ず作る目的やクライアントの要望があります。
それをしっかり汲み取り、デザインに反映させるためには、クライアント目線を持つことが大切です。
「気軽に利用して欲しいから明るい色が合うな」「採用を増やしたいから活気ある印象にしよう」と考えることで、クライアントに喜ばれるデザインに近づけていくことができます。
またデザインの理由について「オレンジには親しみやすいイメージがあるので、今回の商品にはぴったりです」「社長一人の写真ではなく、多くの従業員が写った写真の方が働くイメージが伝わります」と、どうしたらクライアントが納得できるように説明できるかを考えることも大切です。
グラフィックデザイナーの年収
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」にて公表されている「デザイナー」の平均年収は430万円です。
また、「求人ボックス給料ナビ」の調査によると、2022年7月4日のデータでは、正社員のグラフィックデザイナーの平均年収は410万円です。
平均より低めな印象を受けますが、実際は給与の幅が広いので、本人の実力と努力次第ということを覚えておきましょう。
プロデューサーやディレクターなどの責任ある立場になれば、年収も一気に上がります。
給与を上げるためには、スキルアップとキャリアアップが重要になります。
しかし、管理職はデザイン以外の仕事が多く、自分のやりたかった仕事と乖離ができてしまう可能性もあります。
実力が十分についたと思ったら、フリーランスとして独立することも視野に入れてみましょう。
まとめ
本記事では社会人からグラフィックデザイナーになる方法と、おすすめの就職先、グラフィックデザイナーに向いている人の特徴、デザイナーの年収などを紹介しました。
社会人からグラフィックデザイナーを目指す道のりは簡単とは言い難いです。
少しでも早く、より確実に、そして自分の望む働き方のできる就職を目指すのならば、ぜひスクールを利用してみてください。